異物反応性肉芽腫とは

異物反応性肉芽腫(縫合糸肉芽腫・縫合糸膿瘍)とは、手術時に使用する縫合糸によって起こる病気です。
過去に実施した手術で使用した縫合糸に対して、体内で何らかの免疫異常が発現し、その結果、糸を異物として体が反応することにより、その周囲に炎症を起こしたり、しこり(肉芽腫)を形成する病気です。
この病気は圧倒的にミニチュアダックスフンドが多く、その他の犬種として、ミニチュアシュナウザー、チワワ、ヨークシャテリア、マルチーズ、トイプードル、ゴールデンレトリバーなどが報告されています。

症状

炎症により、原因が分からない発熱(不明熱)、それによる食欲不振や関節痛がおこります。体内では炎症の発生部位に応じて消化器症状(嘔吐、下痢、排便困難)、泌尿器症状(血尿、頻尿)がおこります。

治療

内科療法としてステロイドなどの免疫抑制剤を使用しますが、治療が奏効しない場合もあります。
手術でしこり(肉芽腫)を取り除く場合もありますが、周辺の臓器との癒着が強く、膀胱や腸を切除したりすることもあります。また、術後にも約70%の症例で免疫抑制剤による内科管理が必要です。

異物反応性肉芽腫を防ぐために

シーリングシステムTess 手術時には血管や組織を手術用の糸を使って結び、切断して、腫瘍や卵巣・子宮、精巣などを摘出します。以前は糸の種類によりしこり(肉芽腫)の発生頻度が違うといわれてきましたが、近年の研究結果からどの縫合糸でも発生する可能性があることが明らかとなっています。そのため、異物反応性肉芽腫を防ぐにはなるべく縫合糸を用いない方法が望まれます。
そこで当院では、縫合糸を使わずに血管、組織の処理が可能な「シーリングシステムTess」という機械を使用しています。電気エネルギーを熱エネルギーに変換して組織を圧着して融合する装置です。縫合糸やクリップを使用せずに止血することが可能となります。また、超音波凝固切開装置やレーザー装置よりも確実性が高いことに加え、それに伴う熱損傷の範囲が小さいという特性をもっています。さらに、装置はコンピュータ制御されているため、再現性の高いシーリング効果が得られます。

シーリングシステムのメリット

▸ 手術時間の短縮と効率化により麻酔の負担を軽減
▸ 安全かつ確実な止血を実施
▸ 糸をなるべく体内に残さない手術が可能
これから避妊、去勢手術をお考えの方は、ぜひご検討ください。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。